Wi-Fi6ルーターで勘違いしそうな3つのポイント

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ヤマモトです。

最近、Wi-Fi6対応のルーターをよく店頭でみかける。売り出し文句も「高速Wi-Fi」と書かれており、あたかもそれを買うだけで高速Wi-Fiになりそうな雰囲気を醸し出している。

いや、嘘じゃないんだけども (笑)

ただ、もし自分がITオンチだったら普通に勘違いしそうだなーと思った。

ということで、本日は勘違いしてそうな人のためにWi-Fi6についての話と、高速Wi-Fiを実現するためのチェックポイントの話をしていこうかと。

本記事は以下の方向け。

  • そもそもWi-Fi6について知りたい方
  • Wi-Fi6対応のルーターを持っているけど、「家のWi-Fiが早くない気がする!! 」と感じる方
  • シンプルにWi-Fi6を体感したい方

Wi-Fi6について

そもそもWi-Fi6って何??

Wi-Fi6とはWi-Fiの規格のこと。

「規格」とは

「規格」について身近な例をあげるとするなら、USB端子がわかりやすい。
USB端子はUSB-Aとかmicro USBとかUSB type-cとか色々な形状があるが、まさにこれが規格そのもの。

それぞれの規格、つまるところ端子の形状には意味があって、端子ごとにどういう機器や部品を採用するか、またその部品を使ってどういうプロトコル (規約、ルール) で通信や信号のやり取りをするかが決められている。
USB-AよりUSB type-cの方が後発の規格で高速通信や急速充電ができるというのは知っている人も多いかと思うが、これもUSB type-cの方がより新しく優れたプロトコルを使っているからである。

じゃあなぜこういった規格が決められているかというと、答えはシンプル。
機器と機器を接続する際にルールが決まっていないと、機器を作る人が自由勝手に作ってしまい、機器同士を接続する際に困るから

そりゃそうだろ。ってみんな思うだろうが、そう思った人ほどiPhoneのLightning端子の意義をAppleに問うて欲しい (笑)

Wi-Fiの規格

2022年現在、Wi-Fi6が最新なのだが、Wi-Fi6は第6世代の規格。もう既に6回もアップデートされてきているわけだ。

ちなみに第1世代は1997年発表。最大通信速度 2Mbps という今じゃ考えられない通信スピードだったのだが、当時はこれでもありがたかったのだろう。歴史を感じる。

Wi-Fiのこれまでの規格については以下のページがわかりやすい。

Wi-Fi6の特徴

上記のリンク先にも解説が載っているので、詳しくはそちらを見ていただければと思うが、メリットは大きく以下の3つ。1つ目はご存じの通り「高速」なのだが、2つ目、3つ目は意外と知らない人も多いと思う。

  1. 従来のWi-Fi規格よりも高速で通信
  2. 直交周波数分割多元接続(OFDMA)により、多台数の機器の接続に強い
  3. TWT(Target Wake Time)により、子機側のバッテリー節約が可能

Wi-Fi6を実現するためのポイント

本題。ヤマモト的に「勘違いしそうだな~」というポイントをいくつかまとめてみた。

Wi-Fi6の勘違い

① Wi-Fi6のルーターを買うだけで通信が早くなるわけではない

一番多そうな勘違い。
まあ、店頭に並んでいる箱だけ見たら確かにこう思うのは仕方ない気もする。

上記で「規格」の話をしたが、規格とは他機器と通信する際に決められているものだった。相手ありきで定義されているというわけだ。

そう、Wi-Fi6も「相手」ありきなのだ。

つまり、ルーターがWi-Fi6の電波を発していたとしても、受信する側の機器がWi-Fi6の規格に対応していなければ、Wi-Fi6の電波を受信できないということ。

ちなみに、受信する機器がWi-Fi6対応していない場合は下位互換され、その機器が持つWi-Fi5以下の規格で通信される。

なまじ下位互換もあるから、ルーターにつながって「やったWi-Fi6につながった!!」とか思っちゃいそう。悲しい勘違い。

Wi-Fi6 対応機種例

ご参考までに、Wi-Fi6に対応しているPCやスマートフォンの例をご紹介。以下のページにまとまっている。

店頭とかでの見分け方としては無線LANやWi-Fi規格の記載に「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi6の規格名) が書かれていればOK。

② Wi-Fi6にしても機器の最大通信速度が出るわけではない

Wi-Fi6の最大通信速度は規格上 9.6Gbps
これはあくまで規格の話なので、実際は各メーカーがルーターをどう作っているかによって、性能は少し落ちる。

とはいえ、店頭で並ぶ各種ルーターでも性能が良いやつでは1~4Gbps 程度の最大通信速度で売り出している。

売り出しているんだけども…

あなたのお家のインターネット回線は1Gbps以上ありますか??

別の言い方をすると、

あなたのお家のインターネット回線は1GB以上で契約していますか??

要するに、インターネットそのものが1GB以上で通信できないようになっているのであれば、1GB以上の高速通信ができないということ。インターネット契約がボトルネックになっちゃっているケースね。

最近は10GBで提供している会社も増えてきているのだが、まだまだ1GB契約が主流というか中央値だと思う。ルーター買ってみたけど「1Gbpsも速度出ないじゃん!!」って人はこの勘違いが多いんじゃないかな??

逆もしかり。
10Gbpsのインターネット回線を契約しているのに、1GB上限の機器しか使っていなかったら宝の持ち腐れ。この辺はまたどっかで記事にしようか。

③ Wi-Fi6に対応させるのはルーターと受信機だけではない

これは該当者が少ないケースだとは思うが念のため。

上記の①も②も完璧、だけどなんか思ったより通信速度が遅いなーって人が当てはまると思うのだが、途中経路の確認はしているかい??

どういうことかというと、①で規格、②でボトルネックの話をしたが、ルーター⇔受信端末の間の途中経路でもこれらの話は適用されるということ。

例えば、こんなケース。

  1. ONU (光回線の入り口) とルーターの間に距離があって、途中にハブやLAN延長用のモジュールを嚙ませている場合
  2. ルーターとは別に、Wi-Fi電波を強化するためにアクセスポイントや中継器を設置している場合

1はマンションなどが多いかな。光回線がお風呂場あたりの屋根裏に通っていて、ONUのモデムは屋根裏にあるけどそこからLANケーブルを延長して、リビングとかから出してそこにルーターをつなぐ、みたいな。

この場合、途中経路のLANケーブルや接続端子の規格が古いと、そこが通信のボトルネックになってしまう。今だとあまりみないが、古いアパートやマンションでLANの規格がCat5だったりすると100Mbpsが上限になるので、その時点でルーターに届く段階で通信速度が最大100Mbpsになる。

引っ越した時にこれだったら恐ろしいな。。。

2もほぼ同様の理由。アクセスポイントや中継器がWi-Fi6に対応しているかがポイント。中央に置いているルーターだけが高性能だったら良いわけではないのだ。

Wi-Fi6を感じるためのチェックポイント

ここまで3つの勘違いポイントを述べたが、それを元にチェックポイントをまとめるとこんな感じ。

  1. Wi-Fi6対応のルーター、受信機器を使っているか
  2. 自宅のインターネット回線契約の通信速度上限はどうなっているか
  3. ルーター、受信端末以外の通信経路はWi-Fi6、もしくはそれに準ずる通信速度が出る規格になっているか

例: ヤマモトの自宅の場合

だいぶ前にご紹介したのだが、我が家は各部屋に有線LANを引っ張っていて、それぞれの部屋にアクセスポイント (AP) を置いて、Wi-Fi環境を構築している。

だいぶ前の記事

当時、APを追加する目的でルータを購入した。その時買ったのはNECのAterm PA-WX1500HP。Wi-Fi6対応の機種。

ぶっちゃけ、この時はAP目的だったので高機能のは不要だったのだが、電波はWi-Fi6で飛ばして欲しかったから購入。購入したルーターは下図の3階の書斎に設置している。(仕事で一番通信するからね)

ちなみに、2階に設置されているメインのルーターは、GMOとくとくBBのドコモ光から無料レンタルしているルーター。規格としてはWi-Fi5なのだが、この構成上は問題ない。1Gbpsで3Fの書斎までルーティングするのがこいつの仕事なのだから。

おまえ、インターネット回線契約の通信上限の話してるくせに、1Gbpsの契約なんかい」ってツッコまれそうだが、仕方ないじゃないか。キャリアが対応してないんだもん。

それはさておき。
3Fの書斎まではCat6aのLANケーブルで接続しているので、上限1Gbpsを保ったまま。ということで、3FのWi-Fi6対応のAPからWi-Fi6の電波が発せられ、Wi-Fi6対応の端末で理論上1Gbps上限の通信ができるというわけ。


ということでお疲れさまでした。

みなさんがWi-Fi6について勘違いしてそうなポイントを整理してみたが、この機会に見直してちょ。

これに限った話ではないが、「なんとなく」の理解で無駄に高い製品を買ったり、割高な契約を結んでいるケースは大いにあるので、日常の「なんとなく」を無くすというのを意識するのが大事だと思う。

特に節約とか固定費削減を意識しているならね。

はー それにしてもネットワーク関連の話って面白いな~

これだからネットワークエンジニアはやめられないぜ。



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